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訪問看護の現場から

その他

2022.9.01
訪問看護エピソード「食べることのケア③」

セコム訪問看護ステーションでは、ご利用者の価値観や人生観を大切に看護を行っています。
そんな訪問看護師たちの思いを、実際に訪問した事例を通してご紹介していきます。


「食べることのケア③」(前回のエピソードはこちら)

Sさんの食事量をもう少し増やすためにどうすれば良いか、カンファレンスで問題提起がありました。
すると、あるスタッフが「お酒好きだったらしいから、お酒があればたくさん食べられたりして...」と冗談を言いました。「それだ!!」と思い、文献を調べるとパーキンソン病にアルコールが良くないとの記載はどこにもありません。主治医に相談したところ、「内服時間に気を付ければ、ほんの少しならば構わない」とのことでした。
アルコールは反射機能を低下させてしまうため、量が過ぎるとかえって誤嚥しやい状態になる恐れがあります。1日の量をおちょこ2杯までとし、Sさんが以前していたように、夕食前に飲むことにしました。また液状だと誤嚥するため、増粘剤でとろみをつけることにしました。

当日、おつまみにネギトロを準備し、とろみのついた日本酒を口に入れると、Sさんは一瞬目を見開いて驚いたような表情をしたあと、ゴックンとしっかり嚥下されました。
夕食前の日本酒はSさんの日課となり、そのたびに大好きなお刺身もスムーズに食べられるようになりました。妻は日本酒を飲むという提案が目からうろこだったようで、とても喜ばれていました。

今回は、今まで好きだったお酒を取り入れ、食べることが楽しみになるようなケアを行いました。その方が個別に持っている食習慣や食の好みは、「食べることのケア」ではとても重要なポイントです。これも個別性を尊重したケアの1つですね。